旧枠モダンの入門記事、第四弾です。
これまでの記事はこちら。
話は変わりますが、今回(前回)の記事を出す際、ちょうど晴れる屋さんから旧枠モダンの対戦動画が出ました。
www.youtube.com非常に見どころある試合であり、またお二人が使われていた赤緑白の「カーミックボンバー」と青赤白の「トリココントロール」がどちらもいい具合のデッキだったので、このままサンプルデッキとして解説していきます。
それ以外の色の組み合わせもデッキを作ったのでぜひ参考にしてみてください。
- ・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(赤緑白/リース/ナヤ編)
- ・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(青赤白/ラッカ/ジェスカイ/トリコ編)
- ・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(緑白青/トリーヴァ/バント編)
- ・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(白青黒/ドロマー/エスパー編)
- ・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(黒赤緑/デアリガズ/ジャンド編)
- ・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(赤黒青/クローシス/グリクシス編)
- ・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(赤白黒/デイガ/マルドゥ編)
- ・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(緑青赤/シータ/ティムール編)
- ・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(白黒緑/ネクラ/アブザン編)
- ・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(黒緑青/アナ/スゥルタイ編)
- おわりに
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(赤緑白/リース/ナヤ編)
3色のカードとして「焦熱の裁き」がありますが、このカラーリングがアグロ寄りのデッキになりがちなのに対してデメリットの5点回復が結構キツいため中々使われていません。
ちなみにハレルヤコンバットで使われていたのはこちらのデッキ。(動画の概要欄より抜粋)
こちらですが、詳細な回し方に関しては作成者の方が記事を書いているので合わせて読むとより理解度が上がります。
簡単に言うと、
・1マナでマナクリを出す。
・うまく行けば2ターン目に3マナにジャンプして象が出る。
・3ターン目に象のフラッシュバックとか徴募兵を出して次を準備したりする。
・後はクロックで殴り勝つ。
という割とシンプルなデッキです。
カーミックボンバーに限った話ではありませんが、1ターン目のマナクリを放置すると2ターン目急に象が出てくるので本当に危険です。*1鳥は見かけたら(焼けるなら)焼きましょう。
サーチ先の選定などは慣れるまで難しいかもしれませんが、シンプルかつ非常に強いデッキなのでオススメのデッキタイプとなっています。
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(青赤白/ラッカ/ジェスカイ/トリコ編)
この組み合わせには旧モでも最強クラスの生命体こと「稲妻の天使」が存在します。
4マナ・飛行・警戒・速攻の3/4は非常に優秀で、
・環境の基準とも言える3/3が1枚では突破できない。
・稲妻で焼けない。
・ミシュラン対策の燻し(3マナ以下除去)が当たらない。
・飛行なので普通のデッキだとダブルブロックで交換も許さない。
・速攻なのでいきなり3点削ってくる。
・警戒なので殴った後も象から身を守れる。
と、事実を並べるだけで強いことばかりです。火炎舌のカヴーも居ないので本当にイキイキしています。
稲妻の天使のためだけに白を触る赤青コントロールがあるくらいで、実際上記の動画で使われているトリココントロールもメインの白いカードはこれ一種4枚だけです。
とはいえ楔3色のデッキとなってしまったせいで、土地から受けるダメージがシャレになっていません。
そのため土地基盤の構築が非常に難しいデッキなのですが、それでもなお稲妻の天使1枚で得られるリターンが大きいのでいろいろなトリコデッキが生まれています。
とにかく象に対して稲妻の天使がメチャメチャ強いというだけで環境的な居場所も良く、こちらもオススメのデッキタイプです。
ただこのデッキだと同系戦が非常にキツいのでメインサイドのどこかに心霊破を2枚くらいとってもいいんじゃないかな……。
せっかくなので前回のGP旧枠モダンで自分が持ち込んだトリコデッキも紹介しておきます。赤と白が入ればどこでもカーミックボンバーができる。
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(緑白青/トリーヴァ/バント編)
このカラーリングには3色のカードがありません。
デッキとして見ると、様々なデッキタイプを組める「緑白」と柔軟性の高い「緑青」のいいとこ取りをしたようなデッキを多く考えることが出来ますが、今回はこのフォーマットでしか存在できないようなデッキ「バントジョルレイルランプ」をご紹介。
よくわからない怪しいデッキに見えますが、簡単に言うと「ジョルレイルの効果で相手を指定し、ラスゴかネビ盤で土地ごと吹っ飛ばす」デッキです。怪しいデッキです。
【#MTG #MTG_BMA 】
— BIGMAGIC秋葉原店 (@bigmagicakb) 2022年8月6日
本日開催のBM旧枠モダン杯の優勝はジョルレイルランプでした!おめでとうございます! #旧枠モダン #旧モ pic.twitter.com/tenXh3mCiN
でも何故か勝っています。*2怪しいデッキでも勝てる良フォーマットであることが伺えます。
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(白青黒/ドロマー/エスパー編)
使い所は非常に難しいですが、タップし続けている限り相手のクリーチャーのコントロールを奪う「メリーキ・リ・ベット」が使えます。
デッキとして考えられるのは、嘘か真か/ゾンビの横行などで墓地にクリーチャーを落とし、ゾンビ化/蘇生で蘇らせるリアニメイトデッキか、
豊富なコントロールカードで攻め落とすコントロールデッキか、の二択でしょうか。
ということでコントロールデッキです。
今回はボードを作りきってメサで殴り勝つプランとしましたが、ネザーで攻めたり影魔道士の浸透者でアドを稼ぎにいったりと戦術的にはいろいろなプランが取れます。*3
青白コンと違い名誉回復1枚の対応力が段違いに広いため、打ち消しきれなかった危険なパーマネントだったり相手の動きの糧となる色の土地を崩すなどしていきましょう。
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(黒赤緑/デアリガズ/ジャンド編)
このカラーリングにも3色のカードはありません。
カラーリング的に見るとかなり攻撃的なデッキを組むことができそうですが、今回はその方向を土地破壊の方に寄せてみましょう。
1ターン目に極楽鳥、2ターン目に石の雨、3ターン目にブレイズ/なだれ乗りとするだけで相手の顔が歪みます。
後攻ですら相手に3マナ域以降の動きを許さない構成です。
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(赤黒青/クローシス/グリクシス編)
「沼地の王ソルカナー」と「ニコル・ボーラス」が使えます。
特にボーラス様は見るからに踏み倒したくなるスペックと効果をしています。
ということで、こんなデッキが組めたりします。
リアニメイトで出すパターンもありますが、今回は「流転の護符」を採用。
「流転の護符」で「サンダーメア」を相手ターンに出してクリーチャーをフルタップさせる、「フラッシュメア」というアイディアが旧モにあったので、それも採用。
インスタントタイミングで大きな生き物を出して心を折りましょう。
ここから楔三色になるのでさらに土地が痛くなります。
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(赤白黒/デイガ/マルドゥ編)
こちらのカラーリングにも3色のカードは存在しません。
赤白故にカーミックボンバーコンボが真っ先に脳裏を過ぎります。
となると、黒を足すならばそこに入り込むようなカード、例えば徴募兵で釣ってこれそうで、霊体の先達で釣り上げるのも強そうなカード、あとは汎用的なカードがあれば……。
そうして生み出されたのが赤ダブル黒ダブル白ダブルを要求するハチャメチャデッキです。マナベースを意図的にガバくしないと土地で死ぬ。ペインランドの色ダメージが重すぎて彩色の宝球まで入れた。
とはいえ上ぶれた際の動きは犯罪めいているので、相手に押し付ける力はホンモノです。
toriniku-wing.hatenablog.com2回も回そうとして土地事故に苦しんだログが残っているのでこちらもぜひご覧ください。
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(緑青赤/シータ/ティムール編)
こちらのカラーリングにも3色のカードは存在しません。
コントロールもできる青緑に、除去と引導火力としての赤を足す形が自然かつ強い流れになると思います。
というわけで、カウンターバーンに緑を足したデッキです。
不屈の自然やクローサの大牙獣などで基本土地を安定して持ってこれるため、楔三色の中では比較的土地からのダメージが少ないデッキになります。
特に種子生まれの詩神は一度場に出てしまうと打ち消しの構えが容易になり、また除去が稲妻に偏りがちな旧枠モダンでは2/4が1枚で落とせないため見た目以上に固い存在となります。
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(白黒緑/ネクラ/アブザン編)
こちらのカラーリングにも3色のカードは存在しません。
ここまでのデッキ紹介で触れてきませんでしたが、白と黒には結構な枚数リアニメイト向けのカードがあります。
緑も含めると二色のときより土地基盤が安定するので、今回はそれを生かしてみましょう。
釣り竿は一手でも早く釣り上げれるよう4マナ域にしましたが、墓地肥やしを兼ねた狂気の祭壇+霊体の先達もアリです。本当にどこでもコンボを組み込めるなこのカード……。
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(黒緑青/アナ/スゥルタイ編)
こちらのカラーリングにも3色のカードは存在しません。
青黒に緑を足すとして何が足されるか、
土地加速をしても良し、打ち消し肉の神秘の蛇も強そう、起源で殴り勝てるコントロールもアリ……。
などいろいろ考えましたが、やはり象が強いので象を活かしてみましょう。
ということで、獣群の呼び声がソーサリーであるためネザーを邪魔しないことから生まれたスゥルタイネザーです。
象が防衛時にも3/3というボディが輝き、いざ攻めに転じる際は死の奈落の捧げ物で5/5となり止まらなくもなります。
安定性の代わりに爆発力を得たネザーの一種、ご興味あればぜひ。
おわりに
ここまで3回に分けて全25種類のカラーパターンのカードとデッキの紹介をしてきました。
このフォーマットは、カードパワーのラインが絶妙であるゆえに様々なデッキが生まれ戦っています。
それゆえにメタゲームも混沌としており、「どんなデッキパターンにも勝てる見込みがある」という、デッキ作りが好きな人間にとっては正しく天国のようなフォーマットです。
そして、環境の「答え」にたどり着いたとしても、再録による環境の変化によって新しい環境が生まれるというところも魅力です。
実際、再録1枚で世界が変わることも多々あるのがこの旧枠モダンです。
例えば団結のドミナリアの情報が公開される中に居たこの1枚のカード「バルデュヴィアの大軍」。
実際に旧枠モダンに参入するとなると、象が余裕で止まり稲妻耐性もある、稲妻の天使では止まらない5/5という巨大サイズの生き物です。
今では稲妻が主な除去であるため黒が下火になっていますが、これを取り除けるという点で評価が上がり、メタゲームにさらなる変化が起こることが見えます。本当に来てほしい一枚です。
(8/27追記)
来ませんでした。
また、友好色/対抗色のペインランドの再録も発表されました。*4
スタンダードのセットでの再録ということでこれらの土地が市場に出回って見つけやすくなり、またイラストも非常に良い一枚となっています。
何度も言いますが、旧枠モダンは条件さえ満たせば別に新枠でも新新枠でも使っていいフォーマットです。
最近の反射池/真鍮の都の再録も含め、まさしく【今】が旧枠モダンを始めるチャンスです。*5
また、あまり旧枠モダンに興味が沸かないな、という人も。
もしスタンダードのセットやモダンホライゾンにあんまり強くなさそうな再録カードが来た時になぜか喜んでいる人を見かけたら、旧枠モダンのことを思い出してあげてください。その人たちの喜びはだいたい砂漠に雨が降ったときの気持ちと同じです。
もしこの記事を見て気になって始めたいと思う方、あるいは対戦したいという方がいたら、ぜひとも私含めた近くの旧枠モダンプレイヤーに一声かけていただけますと幸いです。
この都はいつでも新規入場者をお待ちしています。
それでは、良き旧モライフをお過ごしください。
長時間のご高覧、ありがとうございました。
おまけ:じゃあどんなカード・デッキがあるの?(4色以上編)
ここからは本当に長くなったのでおまけです。
五色カードには、「合同勝利」があります。
が、このフォーマットには2つ以上の土地タイプを持つ土地も五色のクリーチャーもなく、達成は困難と言えます。
ですが、マジック・ザ・ギャザリングの特殊勝利はこれだけではありません。
そしてこのフォーマットには、MtG史上*6最も有名で最もインパクトのある特殊勝利カードが存在します。
機知の戦い/バベルデッキです。長くなったのはデッキが縦に長くなったって意味です。*7
かなり大真面目な話ですが、おそらく機知の戦いを使って勝てるフォーマットの中で最も勝てそうなフォーマットがこの旧枠モダンだと思われます。
カードパワーが抑えられていることもそうですが、サーチカードが結構な数あるので意外と引っ張ってこれるというところがストロングポイントです。
また空気的にもカジュアルフォーマットであるため夢を追い求め使うプレイヤーも多く、メインからバベルを握るプレイヤーを考慮してミルストーリーを握るプレイヤーが少ないほど環境に影響を与えています。
と、長い記事の最後に長いデッキというオチをつけたところで、この旧枠モダン紹介記事を締めたいと思います。
ご高覧、誠にありがとうございました。