旧モ入門記事第二回。
この辺から応用編なので長い記事となります。
前回の入門編はこちら。
・じゃあどんなカード・デッキがあるの?(単色編)
とはいえ、どんなカードがあるのかわからないという方も結構いると思います。
ということで今回は、単色のカード・デッキを見ていきましょう。
多色地形を含めた多色のカードはまた次回以降紹介します。
どんなカード・デッキがあるの? 緑編
いきなりカラーホイール順をガン無視しています*1が、この緑という色に環境を定義するクリーチャーが存在しているので緑から触れていきます。
その一つが、獣群の呼び声から出てくる3/3の象トークンです。
初手からクリーチャーでなくトークンが出てきていますが、この3/3というスタッツが一つの基準です。
そもそも旧枠モダンには、極楽鳥・ラノワールのエルフ・深き森のエルフと3種類の1マナのマナクリーチャーが存在しています。
そのため、この3/3が2ターン目に1体、3ターン目には手札の消費なくもう1体フラッシュバックで出てくるという黄金ムーブが存在しています。
これがどのくらい影響を及ぼしているか。
例を上げると、先述の通り赤には超有名単体火力「稲妻」が存在しています。
ですが、同じカードはデッキに4枚しか積むことができません。
そのため、5枚目以降の火力呪文を採用する際、「1マナ増やして3点火力のままの火葬」「そのままだけど2点火力で下位互換のショック」の二択を主に示されます。*2
この場合、現状だとこのスロットを火力として運用するため、より多く命を奪えるし象にも当てれる「火葬」が優先されることが多いです。
他にも、MtGでは2/2のクリーチャーを「熊」と呼び、それらのカードを中心に戦う環境もあったりしました*3が、この環境においてただの熊は象に勝てないので採用が難しくなっています。
そしてもう1枚の3/3クリーチャーである(というかクリーチャーになる)「樹上の村」、いわゆるミシュラランドと呼ばれる「クリーチャー化できる土地」ですが、これもまた3/3です。
MtGにおいては、同じカードは4枚までしか積めません。
象は稲妻で落ちますが稲妻は通常4発しか打てないので、3/3を大量に出せばいつかは焼ききれなくて3/3の圧力に屈します。
樹上の村に至っては、「クリーチャーとして使うターンのみ効果を起動してクリーチャー化する」ため、ソーサリータイミングでの除去*4が非常に難しくなっています。
3/3がどのくらい盤面に圧をかけていくか、なんとなくおわかりいただけたでしょうか。
また、緑は象だけの色ではありません。
例を上げると、
・よりビートダウン色を高めていく、「巨大化」や「怨恨」。
・象を受け止めつつ次の動きに繋げていく、「花の壁」や「根の壁」。
・横並べで攻めてくるエルフたち。
・土地の加速とそれに伴うダメージ軽減、いわゆる「ターボフォグ」戦術を取れるカード。
・アドバンテージを取れる、「起源」「クローサの大牙獣」。
・甲鱗様。
と、結構色んなカードが存在しています。
旧枠モダンでわかりやすく最もクリーチャーが強い色という感じですね。
実際、クリーチャーパワーで押し切る緑単色デッキ、「ステューピッド・グリーン」なんかも存在しています。
【#MTG #MTG_BMA 】
本日8名で開催の旧枠モダン、優勝は『ステューピッドグリーン』でした!おめでとうございます!!
(βの森は賞品です) #旧枠モダン pic.twitter.com/7WGjpldrE4— BIGMAGIC秋葉原店 (@bigmagicakb) 2022年5月7日
どんなカード・デッキがあるの? 赤編
赤と言えば? そうですね。deals 3 damage to any targetですね。
稲妻だけでなく、ショック・炎の印章(2点火力)、火葬・いかずち・ウルザの激怒(3点火力)、火炎の裂け目(両者4点)をこれでもかと詰め込んだ赤単バーンなんかが存在しています。
火力による打点だけでなく、クリーチャーによる打点も取れたりします。
多種多様なゴブリンが存在しているため、ゴブリン部族デッキなんかもできますね。
それだけではなく、「石の雨」「略奪」「なだれ乗り」といったランデス戦術も出来ます。
また、つい最近モダンホライゾン2で超優秀なサーチカードであり、旧モのイーブイとして愛されている*5「帝国の徴募兵」なんてものも登場しました。
などなど色々と赤いカードは存在しますが、やはり「稲妻が使える」という一点でかなり優れた色となっています。
とまあここまで赤と緑を見てきましたが、先述した象の存在と採用率の高い稲妻の存在から、旧枠モダンにおいてはタフネス3と4には大きな壁がある世界となっています。
どんなカード・デッキがあるの? 黒編
黒といえば除去。そう考える方も多くいると思います。
実際「恐怖」「燻し」「悪魔の布告」など、優秀な除去も揃っています。
後は命を削ってサーチしたりドローしたりもできます。
一方のハンデスですが、代名詞「強迫」以外の確定ハンデスはあまりパッとしません。
ヒッピーや8rat(ネズミと廷臣)などもあり、ハンデス寄りのデッキは出来なくはなさそうですが……。
また、「ナントゥーコの影」や「アンデッドの王」、「不吉な月」などをを用いたアグロ戦術から、沼を参照してあれこれする「もぎとり」や「堕落」、「陰謀団の貴重品室」を軸にした黒単コントロールなど、単色デッキを組む際には戦術的にも幅が広くすることが出来ます。
他にも、「陰謀団の先手ブレイズ」や「冥界のスピリット」といったシステムクリーチャーなんかも数多く揃っております。
が、今旧枠モダンで「アツい」黒単デッキ、それは「黒単ファイレクシアン招集LO」です!!!!!
マジで何言ってんだコイツと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、要は「オラクル更新によってファイレクシアンのカードタイプを得た奴らを釣り上げる」デッキです。
本当に怪しく、動くと本当に面白いデッキなのでオススメです。
ですが、除去の色として見ると現状では稲妻のほうが1マナ軽く、コントロール相手に腐っても顔を狙えるということ、
そして稲妻と違って後述する「ミシュラの工廠」を最も使いやすい除去の恐怖では狙えないなど、現状はやや逆風寄りです。
とはいえ、黒が少ないということは恐怖が腐りにくいということもあり*6、きちんと対処を考えれば全然戦える色となっています。
どんなカード・デッキがあるの? 白編
白のカードと言えばーーー!
そうですね。神の怒りですね。
とまあそれは置いといて。最速の緑がマナクリ→象→象と動くことで3ターン目にはちょっとやそっとじゃ倒せない生き物が立ち並ぶことになります。
それらを1枚で押し返すカードとして最近再評価されているカードです。*10er.com/bigmagicakb/status/1522816829542248448?s=20&t=DJ
また先程「タフ3とタフ4には大きな壁がある」と言いました。
白には優秀なタフ4クリーチャーが2体も存在しています。「セラの天使」と旧モのカリタスこと「堅牢な守備隊」です!
5マナなので間に合わないこともありますが、実際に象の対面に出されると悶絶するカードたちです。
他にも、コントロールのフィニッシャーの枠として使われる「聖なるメサ」や、一色で完結するコンボができる「最下層民」と「革命家チョー・マノ」なんかもいます。
また白を取ることによるメリットとして、豊富なサイドボード用カードが存在していることも大きいです。
「解呪」*11、各色防御円、「物語の円」、「崇拝」、「聖なる場」など、苦手な戦術には強くNOを言っていきましょう。
ですが、白の単色デッキならば最も輝くのはやはりウィニー戦術ではないでしょうか。
「サバンナ・ライオン」「サルタリーの僧侶」「白騎士」「ヴェクの聖騎士」など、小粒のクリーチャーの中にはそういった攻撃性能の高いカードが揃っています。
これでは象に勝てない? ですが白にはアンセムや鳥さんが居るので無視できたりむしろ相手が攻めきれなくて大変になったりします。
そんな白単ウィニーデッキも、第12回旧枠モダンGPで結果を残していたりします。
第12回旧枠モダンGP
— プログラマ(MTG専用 (@program_mtg) 2022年6月11日
使用デッキ: 白ウィニー
R1 トリコロール先手×◯×
R2 緑白ランプ後手◯◯
R3 緑単先手◯×◯
R4 青黒先手◯◯
R5 ID
SE1 ナヤカーミック後手◯××
7/28位
ヴェクの聖騎士は重いため不採用#旧枠モダン pic.twitter.com/gDzNADb1LF
戦闘力・コントロール力ともに良いカードが多い色なので、単独でも混ぜても輝ける色となっています。
白の紹介の最後になりますが、今の旧枠モダンを語る際、絶対に忘れてはいけない1枚があります。
霊体の先達/Karmic Guideです。
戦場に出たときに墓地からクリーチャーを戻し、
エコーを払わないとアップキープに死んでしまう、
飛行と何故かプロテクション黒が付いている2/2のクリーチャーです。
この霊体の先達、単体でも飛行もついてるし墓地からクリーチャーを釣り上げるので単体でも強力なカードではあるのですが*12、
エコーで自殺させ、サクり台としてゴブリンの砲撃や狂気の祭壇を隣に置き、2体目の霊体の先達で1体目を効果の対象に指定、スタックでサクって効果起動、1体目の霊体の先達で2体目を効果の対象に――と繰り返して無限ループを行う、通称「カーミックボンバー」という即死コンボを決めることができます。
コンボで一撃必殺を狙うもよし、
アグロなデッキが最後のダメ押しに上と下から戦力を突きつけてもよし、
ブロッカー運用で2枚カードを出して延命を図ってもよしと、様々な用途に使うことのできる有用カードとなっています。
それ故に様々なカーミックデッキが生み出され、成果を残していますがそれはまた多色編で解説しましょう。
どんなカード・デッキがあるの? 青編
青といえばカウンターとドローですね。*13
こちらも往年の名カードが大活躍しております。
まずはカウンターから。
とはいっても、実はつい最近まで2マナの確定打ち消しが「霊魂駆逐」しか存在せず、他のカウンター呪文は不確定なマナ漏出か中略X=1くらいしかありませんでした。*14
それがなんと、モダンホライゾン2にてカウンター呪文の代名詞「対抗呪文」が旧枠モダン入りしました。
また、「中略」と対抗呪文より1マナ重い「雲散霧消」にも出番が存在します。
というのも、先ほどからチラチラと話題にし続けている「獣群の呼び声」のストロングポイントは「墓地からフラッシュバックで打てること」。
中略と雲散霧消には追放の追加効果があるので、象さんが増産できなくなります。
霊体の先達も同様で、釣り上げる元をこの2種類で打ち消してしまえばただのエコー付き2/2飛行プロテクション黒のひ弱な生き物と化します。
一方のマナ漏出は、青1マナで打てる色拘束の軽さが魅力です。
後半は腐ることも増えますが、序盤で安定して打てるカウンターであるので序盤を重視したいデッキはこちらの採用も考えられます。
他、サイドボードに積むような「無効」「反論」「除外」なども存在しますが、どれを何枚積むかは最早各個人の感覚次第なところもあります。自分だけの最高の打ち消し配分を見つけてください。
一方のドローですが、こちらはインスタントタイミングで強いドロースペルが1種類しかなく、どうしてもその1種類に人気が集中してしまっています。
それが「嘘か真か」です。そりゃ1種類に人気が集中するわ。
5枚見て「加えられない1-2枚」「リソースが増える3-4枚」のどちらかが貰える強力なドロースペル。
インベイジョンブロックに続き、こちらでも大活躍しております。
また、青のミシュラランドである「フェアリーの集会場」が、フィニッシャーとして樹上の村かそれ以上に幅広く使われています。
と、ここまで単色の紹介の際には先人の作った単色デッキをご紹介してきましたが、
今の旧枠モダン用にアップデートされた青単デッキがインターネットに落ちてなかったため、ざっくりと自分で組んでみました。
一人回しすら出来ていないので参考になるかどうかはわかりませんが、まあこんな時間制限に引っかかりそうな超ロングゲームデッキも組めるよ、ということでひとつ。
おまけ:どんなカードがあるの? 無色編
5色から外れた無色のカードにも様々なカードが存在します。
その中で現在最も使われているカードと言えば、「ネビニラルの円盤」でしょうか。
旧枠モダンにはプレインズウォーカーというカードタイプが存在していないため、基本的には土地以外のすべてを叩き割ります。
その代わりに設置から起動に1ターンかかります。この1ターンが勝負を左右することが多いのですが、それでも全ての色で/どんなに事故っていても使える全体破壊が弱いはずがありません。
サイドボードに多く使われるカードとしては「トーモッドの墓所」「鋸刃の矢」なども存在しています。
ですが、本領発揮するのは無色の土地たちです。
なんせこのフォーマット、ウルザの土地が3種類使えます。
じゃあここから何をするんだよと思うこともありますが、実際は旧モのウギンこと「アラジンの指輪」や「トリスケリオン」なんかに繋がったりします。
アラジンの指輪は起動にも8マナがかかって大変ですが、トリスケリオンくらいだと通常のデッキにもすんなり入る性能をしていますのでオススメです。
また、サルタリーの僧侶やフェアリーの集会場をメタって「砂漠」を入れる方や、単独でも象と相打ち、2枚あれば効果込みで象すら止まる「ミシュラの工廠」など、色が出ないデメリットを配慮してでも入れてしまうような強い土地も存在します。
特にミシュラの工廠はとても使用率が高く、コイツが恐怖で落とせないという一点で現状黒のピン除去は燻しを多く取ることを意識してもいいようなカードです。
おわりに
ここまでざっくりとどんなカードがあるかを紹介してきたが、非常にカードのバランスが取れたフォーマットなので、まだまだ紹介しきれなかったカードは存在します。
とはいえ、プレイヤーがいないと始めるのが怖いというのも事実。
東京近郊では定期的に大会が行われています*15が、中々地方の方は始めにくいというところは否めないところはあります。
が、近代のインターネットの発達によってオンライン対戦も発達してまいりました。
Discordのカメラがあれば孤独なプレイヤーであってもオンライン上の誰かと対戦することは簡単な時代です。
また私はMOをプレイしていませんが、MO上で旧枠モダンのデッキを組んで居る方もいらっしゃいます。
もし気になって始めたいと思う方、あるいは対戦したいという方がいたら、ぜひとも私含めた近くの旧枠モダンプレイヤーに一声かけていただけますと幸いです。
旧枠モダンの集会場ではいつでも新規入場者をお待ちしています。
次は二色編です。
4/3
toriniku-wing.hatenablog.com4/4
*1:公式カード番号で言うと白青黒赤緑
*2:火+氷もあるけどそれは別の話
*3:インベイジョンブロック構築とか
*4:神の怒りとか
*5:ごく一部で
*6:ミシュラの工廠以外にもミシュラランドは存在するため、インスタントの除去の需要はわりとあります
*8:カード描写だけでなくはじめと慧美がもう見ていてとても良いので皆さんも読んでみてください
*9:それはそれとして僕の好きなキャラは八雲です。やっぱりとか言うな
*10:ネビニラルの円盤も最近増えたんですが、1ターン遅いとその分ダメージがかさむので痛い
*12:今の流行りはギャンコマの効果で自身をサクって霊体の先達でもう一回釣り上げる犯罪ムーブ
*13:この時代にはネメシスもデルバーも濁浪の執政もいない
*14:否認はモーニングタイド出身のカードなので旧枠にはありません
*15:月1回以上